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照明機材イメージ写真_写真講座

 2010年6月より始めたライティング・スタジオワーク講習も、回を重ねて22回目を無事終了しました。少しでもレベルアップしたいと願う受講者の方々の熱意のおかげで、これほど長く続けることができたと思います。この間、延1,222人の方に参加して頂きました。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
 この間、”受講したいが遠方で参加できない。”、”交通費がかさむので毎回の参加は無理。”等ご意見を頂戴いたしました。これらの方々にも講習会の概要を知って頂きスキルアップの一助にして頂くために、これまでの講義と実習の内容を整理したものを記事にしてまいります。
 第1回は、各講習コースで最初に行う安全講習についてです。工事現場に比べるとスタジオやロケ先での作業はさほど危険なものではないのですが、高温のライト類を扱ったり高所に登って作業することもあり下手をすれば怪我をしたり物を破損したりする場合もあります。安全講習のテキストとして使用している弊社の「アシスタントマニュアル」を基に、安全に撮影作業を進めるための留意点を解説していきます。
 以下に、「アシスタントマニュアル」の全文を掲載しますので目を通してください。読みながら○△×のチェックを入れると、いかに自分が勉強不足かを知るいい機会にもなります。
 次回以降、重要事項を個別に解説していきます。請うご期待。


アシスタントマニュアル(カメラアシスト含まず。) 

○ 実践している。  △ 知っている・聞いたことがある。 × 知らない・初めて聞いた。

チェックして講習会初日に持参して下さい。

1.服装

  • 軽快に動くことができケガをしない服装をする。(夏場でも長袖がベター。)

  • 引っ掛けて物を倒したりしないように、ダブついたズボン・シャツは避け、シャツの裾はズボンの中に入れる。

  • 靴下は、ホリゾントや背景紙への色移りがないように白または淡い色のものをはく。

  • ガラス製品など割れたり欠けたりする恐れのある商品や小道具、傷つきやすい物を扱うときは腕時計・ネックレス・指輪は外す。

  • 毛ボコリを出さないように、冬場は毛足の長いセーター等は着ない。アクセサリー撮影やフィルカメラでの撮影時は特に注意する。

2.携行品

  • カッターナイフ(小)

  • はさみ(小)

  • 白テープ・黒テープ・セロテープ

  • メモ用紙(切り取ってカメラマンに渡せるもの。)

  • 筆記用具

  • 軍手(火傷予防のため、タングステン照明機材を扱うときは必ず着用。)

  • ロープ(細いものでよい、1.5m長を2本。)

  • 照明用ピンチ(10個ほど。熱で剥がれ易くなるため、光源の近くでの物の固定にテープは使用しない。)

  • ブロアー(レンズの他に、被写体およびその周辺のホコリの除去。)

  • レンズクリーニングペーパー(レンズの他に、ハロゲンランプに誤って触れた場合これを使って油脂分をふきとる。)

  • ウエストポーチ(上記の品々をすぐに取り出せるように入れておく。テープ類はポーチの帯に通しておく。)

3.機材取扱上の注意点

総則 機材に限らず、物は“倒さない”、“落とさない”を常に念頭において行動すると。

    1. 三脚・スタンド類
      ■ロックのためのレバーやノブは緩まぬようにしっかり締め付ける。普段触らない所(マンフロットの大型スタンドの最下部のノブ等)も最初に扱うときに確認する。

      ■ブームや高く伸ばすスタンドは、カウンターウェイトや砂袋で安定を保ち転倒を予防すること。重し類が不足したときはストロボのゼネで代用せよ。(携行品のロープで吊るす。)また、3本の脚のうち1本は、倒してはいけない方向に向けておく。(スタンドは足の出ている方向には倒れない。ブームでは、ライトを取りつけてある腕の方向。)

      ■ブームの組み立て時には、ライトとウェイトの平衡を十分に取ること。

      ■足を開いてないスタンド類は壁に立てかけない。倒れて物を傷つける可能性が非常に大。養生用の敷物の上に寝かせておく。

    1. ライト・ストロボ
      ■ケーブル類は足で踏まない。また、ケーブル類は乱雑に這わさないでまとめる。(つまずき防止とスペースを有効に活用するため。)

      ■ライトのセッティングは高い位置のライトから低い位置のライトの順で行う。

      ■プラグ類は垂直に抜き差しする。硬いからといってねじらないこと。(プラグのピンが折れる。)ゼネタイプのストロボのプラグを抜き差しするときは、空発光させてから行う。(発光させる時は声かけをする。)

      ■ストロボを複数台使用する場合、メインストロボ(シンクロコードにつながったストロボ)の充電途中音はOFF、その他のストロボはONにするのが基本。設定の状態をカメラマンに報告すること。

      ■ストロボのシンクロコードは、引っ掛けたときにシンクロ接点を破損しないように処置する。(止め結びで輪を作り雲台のハンドルに掛ける。ただし、軽い三脚の場合はカメラを倒す可能性があるのでカメラマンに相談する。接点近くのコードがバネ状のものは処置の必要なし。)

      ■レフランプ(アイランプ)を直接コンセントに差して使うときは、スイッチですばやく数回ONOFFをくり返しながら点灯する。(フィラメント切れの防止。)またコードはランプに触れないようにエレンクリップの口の部分に挟みこんでおく。

      ■ハロゲンランプ(ストロボのモデリングランプも含む。)を大きく移動したり上下させるときは消灯してから行う。(点灯時のハロゲンランプは衝撃に弱いため。)

4.ロケ現場、ホリゾントでの注意点

総則 撮影のために借りた住宅や店舗、貸スタジオのホリゾントは“汚さない”、“傷つけない“こと。汚さない・傷つけないは、屋外でも同じ。

  • 機材の搬入搬出時は、一番あわただしい時なので機材やケースを床・壁等に当てないように特に注意する。危険と思われる場合は毛布等で機材を包んで運ぶこと。

  • 荷物置き場は、撮影のしやすさ、ライティング等の作業のしやすさをよく考えて決めること。床面の場合は養生の敷物をしいてその上に置く。

  • スタンドを床に設置する場合は養生の敷物を敷くか、脚の接地部分を布・テニスボール等で養生すること。

  • ライトを天井近くに設置する場合は焦がさないように注意すること。また火災報知機・煙探知機の有無も確認し近くには絶対に設置しないこと。

  • 誤って床や壁を汚したり傷つけてしまった場合はカメラマンに速やかに報告すること。

  • 撤収前の清掃は念入りに行う。ごみ1つ残さぬように。最後に忘れ物の確認も行う。

  • ホリゾントにあがるときは専用のホリスリッパを履くこと。(ホリスリッパはスタジオが用意してくれる。)

  • 貸スタジオの機材を使ってのライトのセッティングはスタジオマンに任せること。持ち込みの機材はカメラマンのアシスタントがスタジオマンと共同でセットします。このときスタンド脚の接地部・カメラ三脚の接地部、ストロボのゴム脚等はすべて白テープで養生すること。またケーブルの汚れも厳禁、事前に汚れを落としておくこと。

  • 開いてない脚類はホリゾントの上に直接おかない。組み立ては手で持って空中で行うこと。重いスタンドも腿で重量を支えてホリゾントに置くことなく組み立てる。

  • ホリゾントの上では膝をつかないこと。(特に新しいジーンズは色移りの恐れあり、要注意。)

  • 無垢のフローリング・畳の上での作業も、ホリゾントに準ずる。

5.撮影中の注意点

総則 与えられた役割に応じた最適な“立ち位置”をよく考えること。

  • 複数のアシスタント、スタジオマンとの共同作業となる場合は役割の分担を明確にすること。上位アシスタントがいる場合はその指示に従うこと。通常は指示系統はカメラマン→カメラマンアシスタント→スタジオマンの順ですが、不慣れなうちはカメラマンに役割の分担を決めてもらうこと。スタジオマンの下に付くこともあり。

  • カメラマンの指示により、ライト位置の調整を行う場合はハロゲンランプでも消灯の必要はなし。振動を与えないように細心の注意をしてゆっくり少しずつ移動させること。

  • ストロボのチャージ読み(主にモデル撮影で、使用している全てのストロボが問題なく発光し、その後全てのストロボの充電が完了したことをカメラマンに合図すること。)は受け持ちのストロボを決めチャージランプがすべて見える位置に立って行う。一人で受け持つ場合はゼネを一ヶ所にまとめる等の工夫をすること。合図のかけ声は、問題なく全てが発光し充電が完了すればOK。シャッターを切るのが早すぎる等のために、1つでも発光しなかったときはSTOP。モデル撮影はテンポが大切なので、チャージ読みもテンポよく行う。

  • ストロボの発光確認は通常はチャージランプのみの確認でよいが、必要に応じて目視も行う。(手をグーの状態に握り絞りを作って覗く。)

  • 置き位置の変更で撮影商品等を移動させる場合は擦って動かさないこと。特に濃い色のデコラや背景紙を使用している場合は要注意。また、必要に応じてアタリを付けておく。最終段階の位置決めで物を動かすときはゆっくり少しずつ移動させる。料理等は器の底が濡れている場合があるので、置く前にふき取ること。

  • 濃い色の背景紙の上を歩くときは、布や紙で養生すること。また、膝をつかないこと。(擦るとその部分がテカる。)適当な養生がないときはトレペで代用する。

6.安全上の注意点

総則 撮影には常に危険が付きまっとっていることを忘れず、“危険因子の排除”に努めること。 

  • 1つ1つの動作は確実に行うこと。機敏さは必要だが、あせる必要はなし。

  • カウンターウェイトの下には入らない。クライアント等の不慣れな人な入った場合にも注意をする。

  • レフランプは水に濡れると破裂する可能性があり。汗などもランプに落とさないように注意する。

  • 電源が入った状態でのストロボの発光管は絶対に覗かない。(ノイズなどで不意に発光することがあり。)

  • ストロボの空発光および露出測定時の発光は、発光部の間近に人がいないことを確認し、「飛ばします。」と声かけを行う。

  • ハロゲンランプを素手でさわってしまったときは、アルコールやソルベントを使い油脂分をふき取る、なければ携行品のレンズクリーナーペーパーで代用しきれいにする。後々に破裂の恐れがあるので、カメラマンに報告をする。

  • ドラムコードは全線伸ばしきって使う。(容量以下でも熱がこもり発火の恐れあり。)

  • 電源の延長コードは容量を超えないように注意する。細い線へのタコ足配線は危険。

  • 大型のバウンス板やレフ板は浅い角度(垂直に近い角度)で立てかけない。手前の板を勢いよく移動させると奥の板が吸い寄せられ手前に倒れる可能性あり。深い角度で立てかける。

7.その他の心得

  • 遅刻は厳禁。電車・バスなどの遅延の可能性もあるので、30分前には現場入りするつもりで移動する。(早く着きすぎたときは、再度このマニュアルに目を通す。)

  • 派遣先のスタジオ(カメラマン)には、そのスタジオ独自の機材や“やり方”があります。扱ったことのない機材は撮影前に操作方法を聞く。また、“やり方”は安全性に問題にないものに関してはそのスタジオのスタイルに合わせる。安全性に疑問を感じたらカメラマンに相談する。

  • カメラマンは将来の自分である。カメラマンの指示は、「どのようにしてほしいのか?」をカメラマンの目線・立場に立って考えること。

  • 撮影商品(小道具も同じ。)はメーカー等からお借りしているもの。傷つけることのないように慎重に扱うこと。

  • ホウレンソウ(報告・連絡・相談)。企業・組織での報連相とは意味が違いますが、ミス・物の破損・機材の不具合等は速やかにカメラマン(上位アシスタント)に報告する、人への連絡を依頼されたときは5W2H(いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように、いくら)を用いて的確に伝える、判断に迷うことがあれば勝手な判断はせずカメラマンに相談すること。

8.撮影・スタジオ隠語集

  • ゼネ(ゼネレーター)、ヘッド :ストロボの電源部、発光部。

  • スーペリア(Superior) :背景紙のこと。

  • サベージ(SAVAGE) :背景紙のこと。SuperiorSAVAGEは共にメーカー名。

  • キミーラ(Chimera) :ソフトボックスのこと。Chimeraもメーカー名。

  • アイランプ :レフレクターランプのこと。アイランプは岩崎電気の商品名。

  • ポールキャット :撮影・照明用のツッパリ棒のこと。ポールキャットは元のRDS(現、東芝ライテック)の商品名。マンフロットのオートポールもこの名で呼ぶ場合が多い。

  • パーマセル(Permacel) :映像・写真用テープのこと。Permacelはメーカー名。

  • サービス :モデル撮影等、主にストロボを使用した撮影時に構図取りやピント合わせの補助の目的で点灯するレフランプ。(ストロボのモデリングランプは暗いため。)

  • スタジオマン :貸スタジオにおいて、スタジオの維持・管理作業、撮影時にはライトのセッティングを主としたアシストタント業務を行うスタッフ。

  • バラスト :HMIの電源部。バラストは安定器の意味。

  • わらう :じゃまな物・必要のない物をどかすこと。

  • おす、まく :「おす」は遅くなること。おしている=予定よりおそい。「まく」は急ぐこと。まいている=予定より早い。まきがはいる=急がせる。

  • おはようございます。 :朝晩は関係なく、その日最初にあったときの挨拶。水商売と同じ。

 

 

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